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【業界視点】新規獲得コストが増加している中国EC市場で企業がSNSを活用したコミュニケーションに移行している理由とその実態

発布時間:2022-09-05

中国EC企業は、SocialMedia(WeChatメイン)のタッチポイントを

活用したコミュニケーション手法「SCRM」に力を入れているそうです


黄艶(Yanny Huang)

Senior Department Manager, CRM Department, transcosmos China


ここ数年、中国のネット市場では新規ユーザーの獲得コストが増え続けています。企業はこの状況に対応するため、SCRMというアプローチによる顧客関係の構築に力を入れ始めています。SCRMとは、SocialMedia(WeChatメイン)のタッチポイントを活用したコミュニケーション手法を意味します。


|運営コスト削減と顧客ロイヤリティ向上の為に各ブランドが力を入れ始めた 

中国ECは米国と比較してトラフィックがプラットフォームに集中しています。そのため、ECプラットフォームにおける顧客獲得コストはこの数年で大幅に増加。このような背景の下、各ブランドはSCRM活用に着目し、既存顧客への継続的なコミュニケーションで顧客ロイヤリティや顧客LTV向上、顧客ニーズの理解を進めています。


ECプラットフォームへの集中を表す数値

(出典:eMarketer、CCID、新京報。画像はtranscosmos Chinaが作成)


ソーシャルメディアと顧客関係管理をベースにしたSCRMシステムはビッグデータ分析などの先進テクノロジーを活用、既存顧客や見込み客のデータを取得・分析して、顧客ニーズを的確に把握することができます。


従来のCRMが、SMSやEメールのような手段で顧客にアプローチするのに対し、SCRMは、WeChat公式アカウント、WeChatグループ、企業のWeChatアカウント上で時間、頻度、タッチポイントを気にせずにユーザーとコミュニケーショを取ることができます。そして、低コストのマーケティング手法で顧客との関係を維持することが可能となります。


SCRMは、ブランドのオンライン・オフラインのチャネルを融合し、「オフライン購入+オンライン会員登録」「オンライン購入+オフライン体験」といった全チャネルからのユーザーデータを収集、効果的に顧客とコミュニケーションを取ることができるようになります。ユーザーデータの蓄積や顧客セグメンテーションにより、SNS上でパーソナライズされたマーケティングを実施、顧客とのコミュニティを活性化させてリピート率の向上を実現します。


パーソナライゼーションなどを含めたオペレーションの重要性はより高まっています。そのため、各ブランドはユーザーのデータを集計、顧客ごとに異なるアプローチを行い、各ユーザーのLTV(顧客生涯価値)を向上しようとしています。


|某化粧品リテールのSCRMツール活用事例 

新規獲得、顧客関係の維持、コンバージョンアップなどを実現するには、SCRMツールの活用でマーケティングを行うことが必要不可欠です。その活用事例を紹介します。


某化粧品リテール企業では消費者のロイヤリティ強化、売上拡大に向けてOBA(Online Beauty Advisor)運営チームを設立しました。OBAは消費者に対し1on1で化粧品全般に関する相談を受け付ける取り組みです。そこで活用したのが企業WeChatで、その管理にSCRMツールを導入。消費者対応を通してユーザーニーズを深堀し、悩みを解決する方法の提示をすることで、満足度を向上、CVRやLTVの向上につなげることができました。


某化粧品リテールブランドの事例(画像はtranscosmos Chinaにて作成)


ツールでは、会員情報(購買状況、誕生日、会員レベル、好み商品)の確認・管理、OBAの実績確認・管理も可能。そして、ターゲットとなる顧客の購買行動画像に基づいて、それぞれのユーザーにパーソナライズした対応を実現しました。


一方、マーケティング面でOBAは、専門的なキャラクタイメージやコンテンツを制作、WeChatモーメンツやコミュニティなどのオンラインチャネルでコンテンツを押し出しながら、ブランドの露出度を高めました。


同時に、Q&Aや問い合わせ対応のナレッジを作成、それに基づいてSNS上でパーソナライズされたコミュニケーションを構築。ユーザーとのコミュニケーションの質を向上し、良好な口コミおよびユーザーとの信頼関係を作ることで、売上拡大につなげています。


この仕組みはリアル店舗とも連携しました。リアル店舗の店員に企業WeChatの活用を推進。リアル店舗の消費者をオンライン誘導するなど、消費者にオン・オフでの連動した買い物体験の提供を導きました。また、リアル店舗の店員を中心とした店舗ごとのWeChatグループ運営も可能で、それらもSCRM上で管理することができます。


SCRMツールを活用することで、①1on1のチャットまたはグループ内のコミュニケーションを通して、ミニプログラムのリンクまたはクーポンを送付②モーメンツ上での販促情報発信やミニプログラムのQRコードの掲載③消費者の友達へのクーポン共有を促進④ライブによる商品PRを通して消費者の購買意欲を掻き立てる――といった販促活動を行うことができるようになりました。


SCRMツールの活用イメージ(画像はtranscosmos Chinaにて作成)


今後、中国では、「新規獲得」から「ユーザーオペレーション」へ注力する企業が増えていくでしょう。これは、中国の電子商取引市場では避けられない傾向です。


本記事は日本のECメディアIMPRESSにて掲載されております

日本語原文URL:https://netshop.impress.co.jp/node/10078


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