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トランスコスモスチャイナCEO山下栄二郎に『コンシェルジュ上海』が独占取材

発布時間:2019-11-21



長を続ける中国のEC市場にあって、2006年の合弁企業立ち上げから現在に至るまで、紆余曲折を経ながら顧客企業の中国展開をサポートしてきた同社。海外事業統括副責任者で、中国法人の董事長でもある山下氏にお話を伺った。

 

プロフィール

EIJIRO YAMASHITA

1968年生まれ、大阪府出身。関西学院大学卒業。株式会社リクルートを経て、2000年にトランスコスモス株式会社へ入社。コンサルティング部長などを経て2006年にWecosmos董事COO2013年にtranscosmos CC China董事長総経理。現在は上席常務執行役員 海外事業統括副責任者 transcosmos China董事長を務める。

 

      


感謝と尊敬の思いを胸に地場に密着

ネットからリアルまで、企業と消費者をつなぐ全チャネルをITアウトソーシングサービスで支えるのが当グループの使命です。主な事業としては、コールセンターのアウトソーシング事業、ECのワンストップサービス事業、デジタルマーケティング事業、システム開発、そしてバックオフィス業務全般の運用を行っています。1996年創立と53年の歴史があり、顧客企業の海外展開に伴い世界30カ国でグローバルに展開していますが、地場に根付いて現地の企業と一緒に発展していくことを重視しています。地場に根付くにあたっては、現地の競合も多いですし地の利もありませんから、現地の企業と合弁企業を設立したり、一部出資を受け入れたりといった形で各国の事情に合わせて展開しています。ここ中国においては、マイクロソフトと上海市政府系投資集団との合弁企業であるWicrosoft社と当社が合弁でWeCosmosという企業を2006年に立ち上げたのが始まりです。中国進出にあたって苦労をされる日系企業は少なくありませんが、お陰様で当社はパートナーに恵まれ、非常に親身にサポー ト頂きました。2008100%子会社化をした際も、人材も株式も好意的に譲って頂くなど紳士的に対応頂きました。特に中国側のトップの方がそのタイミングで当社の顧問として参画頂き、その後も個人的にお付き合いさせて頂けるような素晴らしいパートナーに出会うことができたからこそ、中国市場にリーチできるようになりました。地場に根付くということは、その土地で仕事をさせて頂いているという感謝の気持ちと、そこに関わる方々への尊敬の念を持つことから始まるものだと思います。

 

2008年の子会社化以前は、合弁企業ということもあり内部での協議が多く、外部に向けて攻勢をかけるという状態ではありませんでした。そこで幹部社員を集めてワークショップを行い、「利益1元」という目標達成のスローガンを策定し、それを合言葉に社員の意識改革をしながら2009年に黒字化を果たすことができました。その後一旦日本に戻りましたが、日中の尖閣諸島問題もあって2012年頃に再び中国事業が危機を迎え、創業者の私が中国の建て直しを担うべきだと打診を受けて2013年に戻って来ました。赤字に加え先行きが厳しい中、痛みを伴うリストラクチャリングも一部実施しつつ、無錫支社を閉鎖して北京支社に資源を集中させるなどの経営判断を通じ、3カ月ほどで再び黒字へと戻しました。そこから一転して攻勢に転じ、社員の奮闘の成果もあり2014年から2017年までの4年間における中国全体での売上を10倍、従業員数を3倍にまで拡大することができました。

  

徹底した従業員満足度の向上

 オペレーションという終わりのない業務 を手掛けていることもあり、毎日何かしらのトラブルが発生します。事前に対策を打つことができれば理想ですが、これだけ世の中の変化が早く、かつECのプラットフォーマーがルールを主導していく中で、当社が先んじてトラブル防止策を打ち出すのは難しいという状況もあります。発生したトラブルに対して報告を上司へと上げ、会社全体として如何に防止策を整備できるかということが常に重要です。そこで最も鍵となるのが、ヒト・モノ・カネのうちのヒト、つまり従業員満足度を如何に向上させるかということです。そのために様々な施策を講じていますが、事例の一つとして、5年、あるいは10年勤続した社員に対し、連続5日間の休暇を取得した際に最大1万元のボーナスを支給しています。その際に家族と一緒に旅行や食事をして、家族に胸を張って良い会社で働いていると自慢してもらえるような企業にしたいという思いもあって始めた制度です。新年会や社員旅行のほか、チームビルディングも非常に多いですが、それもひとえに社員に利益を還元するためです。また、幹部層の社員たちによる業務改善コンテストを実施しています。今年で9回目となりますが、各地から集結した管理者240人ほどの前で、予選会を勝ち抜いたチームがプロジェクトをどのように改善したのかについて、定性的・定量的にきちんとノウハウとして発表する場です。そのうち上位5チームを報奨として海外研修に送り出しています。これを通じて業務改善効果のみならず、社員のプレゼン能力も非常に向上し、品質の底上げに繋がっています。その他に電話応対コンクールや営業の提案コンテストなども実施しており、競争意識を芽生えさせながらも楽しく業務改善を促す仕組み作りをしています。

 

誇りを抱ける「大宇宙」たるべく

 中国事業を進めるにあたって特に意識しているのは、ECプラットフォームとのコネクション作りです。中国は変化の速度 が非常に早く、かつテクノロジーの分野においても圧倒的な技術力を誇っていますので、当社1社の力には限界があります。そこでパートナー開拓に積極的に取り組んでおり、自社だけではなくて幅を広く持ち、場合によっては資本提携もすることで、中国ならではの新しいテクノロジーなどを活用しながら共にノウハウを作り上げています。そのためにも、中国における投資を含めた事業開発を専門とする部門を、東京に3名、上海に1名、香港に1名の体制で設けており、今後を見据えた動きを取れることは当社の大きな強みであると思います。

 

今後の目標として、上述のように社員が友達や家族に自慢できるような企業にしたいというのは私が一貫して抱いてきている一番大きな思いです。そのためには先進的な制度や取組みも必要ですし、何より日頃お付き合いさせて頂いている大企業様に、社員一人一人が専門家としてしっかりとコンサルテーションできる能力を持った企業にしたいです。何か困った際に頼って頂けるような、常に近くに寄り添い、親身に対応解決できる企業でありたいと願っています。規模も重要ですので、中国全土の社員数を現在の6,000人から1万人へと近年のうちに達成したいと思っています。

 

チームビルディングの一環で、昨年社内のドラゴンボートレース大会を開催。

上海海湾国家森林公園でのレース後の集合写真です。


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好きな言葉

3カ月に1度、表彰式の場を兼ねたキックオフミーティングを実施しており、受賞者と自分の名前だけは直筆で書いています。毎回100枚ほど、年末には200枚ほど書いているので自分の名前だけ上手くなりました(笑)。

  

ラグビー

12歳~30歳まで現役でラグビーをしていましたが、今は応援専門です。先日も横浜に1泊2日でW杯の観戦に行ってきました。大学時代は体育会系ラグビーには所属せず、社会人の世界を覗き見たく、学生企業に参加していました。

 

野球チーム

2006年に上海初赴任。上海日本人学校浦東校開設と同タイミングであり、一期生の息子と一緒に校長先生に直談判をして少年野球チーム「上海パイレーツ」を新設しました。写真はパイレーツ1期生の集合写真です。

 

注:『コンシェルジュ上海』201911月号EC特集6頁―9頁にて掲載されております

編集:千葉陽



報道関係者お問い合わせ先

transcosmos China マーケティング部

Email:marketing@transcosmos-cn.com

Tel:+86(0)21-5256 4608

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